東京総研及び元森公認会計士・税理士事務所の掲載記事情報

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■当社が、「日刊工業新聞」の記事に紹介されました。
2000年3月27日 掲載

動き出したエンジェル

情報交換会やセミナー開催
基盤づくり本格化

 ベンチャー企業の直接金融による 資金調達を広く実現できるようにしようと 、各方面で環境整備が進んでいる。こうした 流れの中で、ようやく日本でも 「エンジェル」と呼ばれる個人投資家達が 動き出したようだ。 投資を行いながら中小企業 の育成を手がける彼らに 対し以前から多様な側 面で待望論があった。 ベンチャーが根付くかどう かの分水れいにある今、 エンジェルの団きが注目 される。 (大久保昌彦)

出会いの場
 東京・銀座では昨年11月 から、エンジェルによる会合が始まっている。「夢現市場」というこの会には中堅企業のオーナー経営者や大手企業出身者など約80入が集まる。「起業家の夢をかなえたい」とエンジェ ルでもある同市場長の安野史祐子氏は話す。ここでは投資や企業育成を目的に情報交換をしたり、時には投資家を求める起業家が訪れ、ブレゼンテーシ日ンを行っている。

 安野氏らは、単なる投資家との出会いの場づくりに終わらず、会員の持つノウハウや人脈を生かし、ベンチャー企業の育成につなげ たいと考えている。すでに会員の個入ペースながら5社に対し総額約2億円の投資を実行しており、また近く投資事業組合も立ち上げる予定で、徐徐に活動を本格化させている。

ノウハウ学ぶ
  一方、自らもエンジェル として活動するザ・フューチャー・インターナショナ ル(東京都港区)の八幡恵介社長は、日本でのエンジェ ル育成に乗り出した。昨年本場の米国・シリコンバレーで発足した国際エンジェル連盟(IAI)の日本支部を5月にも立ち上げ、セミナーや研究会などを通し、エンジェル関連の情報やノ ウハウの交流を図る計画だ。設立準備会を組織し、1月には東京で米国のエンジェルを招き、セミナーを開催。「経験者の話が重要。 米国のエンジェルが持つノウハウを知ることも大切だ。エンジェルが立つための基盤をつくりたい。そのために核となる人たちと活動していく」 (八幡氏)。現在は5月の総会に向け、急ピッチで準備を進めている。

ネットを活用
 
また、間もなく立ち上がるインターネットを使ったエンジェルと起業家のマッチングシステムは、エンジェル層の拡大に一役買いそうだ。東京総研(東京都千代田区,元森俊雄社長)が手がける「ベンチャーオンライン」は起業家と投資家に会計士や税理士などの各種専門家(プロフェッショ ナル)を加えた3者がネット上でマッチングできる機能を持つシステムだ。

 マッチングシステムの運用は5月に始まる予定で、投資家や専門家にはエンジェルに該当する人たちが多く含まれる見込みだ。同システムの開発事業は、通産省が行う「産業・社会情報化基盤整備事業」で「ベンチャー支援情報システム」として認定を受けるなど、外部からの期待も大きい。

 ほかにも、最近ではインターネットで検索できる「エンジェル」に関連する国内のサイトが増えている。「マザースができたことなどで、ベンチャーやエンジェルに対する関心が高まっているのでは。エンジェルは着実に広がっている」。エンジェル関連の団体としては国内では古く、95年からエンジェル倶楽部(98年から日本エンジェル協会に改称)を運営するベンチャー・支援団体、日本起業家協会(川崎市、山田長満理事長)では、こう見ている。新証券市場が本格的に軌道に乗れば、エンジェル層の拡大 が期待できそうだ。