東京総研及び元森公認会計士・税理士事務所の掲載記事情報

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「週刊ダイヤモンド」
2003年4月5日号(171頁)掲載

経営よろず相談所
テーマ:銀行の増資引き受け要請


回答者  元森俊雄
東京総研 代表(公認会計士・税理士)


Q.先月、長年取引しているメイン・バンクの支店長から、「増資を計画しているので、約5千万円分の増資を引受けてほしい」という要請がありました。もし銀行の申し出を断った場合、次の融資を減額されたり、拒絶されたりしないかと心配しています。どのように対応したらいいでしょうか?

A.株価急落への対応のため、この2~3月に大手都銀三行が増資しました。今後も都銀・地銀などで、増資が続くと思われます。

 この背景には、銀行自身が生き残りのため、自己資本比率(=自己資本÷総資産)の引き上げを迫られていることがあります。分子の自己資本拡大策の一つが増資、分母の資産圧縮策の一つが保有株の売却です。

 銀行は保有株の売却の了承を取り付けるため、取引先に頭を下げて説明して回っています。その一方で、増資引受のお願いにも回っているわけです。

 二つの「なりふり構わぬ勝手なお願い」をしていることを銀行自身がよく承知しています。都銀の支店長も「銀行は増資引き受けを踏み絵と考えてはいない。断っても融資方針を変えるようなことはない。」と明確に言っています。

 あくまで自社の資金繰り優先で諾否を判断して差し支えありません。増資引き受け要請を断っても、次からの融資が受け難くなるとか、貸し剥がしに遭うのではとの心配は無用です。

銀行の増資引き受け要請

2003年4月5日号表紙