東京総研及び元森公認会計士・税理士事務所の掲載記事情報

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「週刊ダイヤモンド」
2003年7月5日 (119ページ)掲載

経営よろず相談所
テーマ:1円企業制度活用の利点


回答者  元森俊雄
東京総研 代表(公認会計士・税理士)


Q.私は現在会社に勤務していますが、100万円の自己資金と150万円相当のOA機器を元手に 「1円起業制度」を活用して、株式会社を設立したいと考えています。この制度の利点を教えてください?

A.1円起業制度は今年2月にはじまった特例で、有限会社300万円、株式会社1000万円という 最低資本金の達成が設立から5年間猶予されます。

 特例活用の利点の一つは、自動車や設備などの現物資産を資本金に充てる現物出資が利用しやすいことです。
 通常の会社設立なら資本金の20%超の現物出資は、裁判所が選任する検査役の調査が必要です。 しかし、特例を利用すれば、有限会社なら60万円まで、株式会社なら200万円までは検査役の調査が不要です。 

 あなたの場合、検査役の調査なしに、資金と現物の計250万円を資本金にして株式会社を設立できます。

 二つ目の利点は、資本金300万円未満でも、全役員が有限責任である株式会社か有限会社を設立できることです。通常は、資本金として300万円用意できないと、 役員全員が無限責任を負う合名会社か、主要役員が無限責任を負う合資会社しか設立できません。
 会社が負債を返済できない場合、無限責任だと役員個人の財産まで差し押さえの対象になりますが、有限責任なら個人保証をしない限り役員個人の責任範囲は 出資金に限定されますので、リスクを小さくできます。

1円起業制度活用の利点

2003年7月5日号表紙