回答者 元森俊雄
東京総研 代表(公認会計士・税理士)
Q. 私の会社の資本金は3000万円(資本準備金なし)で、
8000万円前後の増資を現在計画しています。留意点を教えて下さい。
A.
法人税法上の優遇措置の多くは、『資本金1億円』が分岐点です。たとえば、800万円までの利益に対する法人税率が低い、
30万円未満の少額資産は損金算入できる、などの優遇措置は資本金1億円以下の中小法人に適用されます。
交際費については資本金5000万円を超える法人は全額損金算入できませんでしたが、今年4月以降の年度から資本金1億円以下の法人は、
400万円までの交際費ならば9割を損金に算入できると改正されました。これで、交際費枠の確保のために、資本金を5000万円以下に
抑える必要はなくなりました。
対外的な信用力を高めるためには、資本金は大きいほどいいですが、前述の優遇措置も受けられるように、増資後の資本金を1億円にすることを
お勧めします。増資額の半分以上を資本金にするよう商法で定められていますので、8000万円の増資額のうち、7000万円を資本金、
1000万円を資本準備金に分けるのが賢明だと思います。
なお、地方税の場合、資本金と資本準備金などの合計が1億円を超すと、均等割が18万円から29万円に上がります。増資額を7000万円に
抑え、地方税上の1億円ラインにとどめるというのも一案です。