東京総研及び元森公認会計士・税理士事務所の掲載記事情報

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「週刊ダイヤモンド」
2003年9月20日 (155ページ)掲載

経営よろず相談所
テーマ:自社株の売買価格はいくら


回答者  元森俊雄
東京総研 代表(公認会計士・税理士)


Q. 退職する社員から、20年前に額面価格で割り当てた当社株式を時価で 購入して欲しい旨の申し出がありました。しかし、私の会社は、未上場のため、株価の評価について頭を悩ませています。 どう対処すればよいのでしょうか?

A. 上場会社の場合には、証券市場の取引価格がその時点での評価額になります。しかし、上場していない場合には、さまざまな評価方法があります。
 相続・贈与の場合は、国税庁の財産評価基本通達で、会社規模などに応じて評価方法が定められています。 売買の場合は、純資産方式、 類似業種比準方式、配当還元方式、収益還元方式という四方式があり、会社の規模、全株式に占める売買株数の割合、売り主・買い主の立場などによって いずれの方式を採るか、併用するかが異なってきます。

 売り主と買い主の立場だけ見ても、①双方が同族関係者で支配株主の場合、②双方が少数株主の場合、③一方が支配株主で他方が少数株主の場合 といった三つのケースごとに、鑑定方法は違います。このように、未公開会社の株価評価と売買手続きは極めて複雑ですので、専門家に相談することを お勧めします。
 なお、会社が購入することを自己株式の取得といい、近年の商法改正で原則禁止から大幅に緩和されましたが、株主総会や取締役会などの承認が 必要ですのでご注意下さい。
 

自社株の売買価格はいくら

2003年9月20日号表紙