東京総研及び元森公認会計士・税理士事務所の掲載記事情報

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「週刊ダイヤモンド」
2003年10月04日 (143ページ)掲載

経営よろず相談所
テーマ:自己株式とみなし配当


回答者  元森俊雄
東京総研 代表(公認会計士・税理士)


Q.  私は未上場会社の役員ですが、退任に際し、当社株式100株を会社に売却する予定です。 1株あたりの資本等の金額は8万円(旧額面5万円+資本剰余金3万円)、取得価格は20万円、売却予定価格は50万円です。 税金はどうなるのでしょうか。

A. 自己株式の取得が2001年の商法改正で大幅に緩和されましたが、税務面ではみなし配当に対する課税が強化されました。

 譲渡益は、1株あたりの30万円(=50万円-20万円)に100株を乗じた3000万円です。売却益に対する税金は、単純に 考えれば分離課税(26%)扱いで780万円となるように思えます。しかし、所得税などの計算上、30万円は次の2つに分解されます。
①みなし配当=50万円-8万円=42万円
②株式譲渡損=8万円-20万円=△12万円
 

 両者の税務上の扱いは異なり、みなし配当は、ほかの所得と合算され総合課税の対象となります。株式譲渡損は、株式譲渡益とは 相殺できますが、配当や給与などとは相殺できません。

 みなし配当4200万円(=42万円×100株)に対し、最高で43.6%(最高税率50%-配当控除)の約1800万円の税金が 最高で掛かります。

売却する相手が、個人やほかの法人の場合は、単純な株式譲渡益の扱いになりますので、会社とも相談して会社以外の買い手を捜す方が得策です。

自己株式とみなし配当

2003年10月04日号表紙