東京総研及び元森公認会計士・税理士事務所の掲載記事情報

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「週刊ダイヤモンド」
2003年10月18日 (127ページ)掲載

経営よろず相談所
テーマ:創業社長への退職金


回答者  元森俊雄
東京総研 代表(公認会計士・税理士)


Q.  私の会社は同族会社で、創業者の父親が社長から取締役会長へ退き、長男の私が社長を引き継ぎます。 父親への退職金の支払いは損金になりますか?

A. 取締役への臨時の報酬は、役員賞与と見なされ損金になりません。 一方、退任する役員への退職金は、過大でなければ、損金となるのが原則です。

 ご質問のように取締役にとどまる場合、退職金は臨時の役員賞与となり、通常は損金不算入です。 しかし、一定の要件を満たせば実質的に退職したとみなされ、退職金扱いとなり、損金算入ができます。

 その要件は次の通りです。
①常勤役員から非常勤役員になり、かつ、代表権も持たない場合。
②分掌変更などにより報酬がおおむね50%以上減少する場合。
 このいずれかに該当すればよいのですが、会社の主要な意思決定に実質的に関与している場合には該当しないので注意が必要です。

 したがって、創業者が代表権のない非常勤取締役に退き、重要な経営意思決定に関与しないようにすれば、損金とすることができるわけです。 監査役に退く場合も通常は認められますが、同族会社の主要株主である場合は、実質的な退職とは認められません。
 また、退職金の額が、退職金規程による額か、退職時報酬月額×在職年数×功績倍率(2~4倍)で計算された額を超えた場合、 超過分は損金になりません。

創業社長への退職金

2003年10月18日号表紙