東京総研及び元森公認会計士・税理士事務所の掲載記事情報

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「週刊ダイヤモンド」
2003年11月01日 (133ページ)掲載

経営よろず相談所
テーマ:同族会社のみなし役員


回答者  元森俊雄
東京総研 代表(公認会計士・税理士)


Q.  私は同族会社の代表取締役社長で、長男が営業部長、次男が総務部長です(どちらも取締役ではない)。 持株比率は、私が50%、長男が4%(長男の妻が2%)、次男が4%(次男の妻が1%)です。息子2人に賞与を支給した場合、損金になりますか?

A. 従業員へ支払う賞与は、原則として損金になります。しかし、同族会社の大株主やその親族の場合、 役員に就任していなくても、会社の経営に従事しており(実質基準)、かつ
①同族会社の主要株主グループに属する。
②属する株主グループの持株比率が10%超である。
③本人の持株比率(妻も含めて)が5%超である。
 以上、3つの要件(形式基準)をすべて満たすときは、税務上は役員とみなされ、賞与は損金になりません。

 次男は、形式要件①と②には該当しますが、③については、妻の持株を加えても5%を超えないので、みなし役員になりません。

 長男は、①と②に該当し、妻の持株を加えると6%ですので③にも該当し、形式基準を全て満たしますので、実質基準で判断することになります。 

 実質基準の「会社の経営に従事」とは、法人の主要な業務執行の意思決定に参画することを指します。 長男は営業部長でもあり、主要な意思決定に参画していないことを立証できなければ、みなし役員に該当すると考えられ、賞与を損金にはできないでしょう。

同族会社のみなし役員

2003年11月01日号表紙