東京総研及び元森公認会計士・税理士事務所の掲載記事情報

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「週刊ダイヤモンド」
2003年11月15日 (127ページ)掲載

経営よろず相談所
テーマ:役員報酬の期中増額は損金?


回答者  元森俊雄
東京総研 代表(公認会計士・税理士)


Q.  当社は3月決算の会社です。今年度の業績が好調なので、役員報酬を引き上げたいと考えています。 期中に増額すると、増額分は役員賞与とみなされ、損金にならないと聞きましたが、はたして本当でしょうか?

A. 役員報酬の支給限度総額は定款あるいは株主総会で定め、個別の役員報酬額は 取締役会で決議する(あるいは、取締役会で代表取締役に一任)というのが通常のパターンです。

 一方、役員報酬の増額は、定時株主総会、またはその後の取締役会で増額を決議し、決議後の支給から増額するのが原則です。 それが、支給限度額の範囲内なら、期中でも原則として増額分を損金に算入できます。

 しかし、次の場合は、税務署から損金算入を否認されます。 ①全役員の総報酬額は枠内であっても、その役員の増額後の報酬が、職務内容・収益状況・従業員給与などと比較し不相応に高額と 考えられる場合、相当な金額を超える部分は否認。 ②決議日以前にさかのぼって、差額分(例えば、11月に決議して4~10月の増額分)を一括支給した場合、一括支給分は否認。

 ただし、定時株主総会での決議に限り、期首まで遡及して増額は認めらます。  なお、決算期に近づいて増額し、翌期に減額したりすると、利益調整とみなされる可能性が高いので避けた方が賢明だといえます。

同族会社のみなし役員

2003年11月15日号表紙