東京総研及び元森公認会計士・税理士事務所の掲載記事情報

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「週刊ダイヤモンド」
2003年12月27日 (155ページ)掲載

経営よろず相談所
テーマ:役員への貸付金の金利


回答者  元森俊雄
東京総研 代表(公認会計士・税理士)


Q.  役員から会社に借り入れの申し込みがありました。貸付金の利率などの条件をどのように設定したらよいでしょうか?

A.  役員への貸付金の利率が無償または通常の利率より低い場合、通常の利率で計算した利息額と実際の利息額との差は、 役員への給与扱いとなります。

 通常の利率は、税務上次のように定められています。 
①会社が他からの借入金を貸し付けたことが明白な場合は、借入金の調達利率。
②その他(住宅資金も含む)の場合は、前年11月末の公定歩合+年4.0%の利率。
 2003年11月末の公定歩合が0.1%ですので、2004年の通常の利率は、4.1%です。 

 貸付利率が2.0%の場合、4.1%との差の2.1%に相当する経済的利益が給与と認定されます。 この認定給与額を役員報酬額に加算して源泉税・社会保険料を計算する必要があります。
ただし、定常的な性格なので、役員賞与(損金不算入)ではなく、役員報酬(損金算入可)に該当します。

 従業員の場合も原則は上記と同様ですが、住宅資金貸し付けの場合、通常の利率は1.0%です(1999年3月までは3.0%)。 

 また、役員への貸し付けは、商法上役員と会社間の利益相反取引に該当しますので、貸付金額・利率・返済条件などについて 取締役会の承認を受け、議事録に記載することが必要です。

役員への貸付金の金利


2003年12月27日号表紙