東京総研及び元森公認会計士・税理士事務所の掲載記事情報

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「週刊ダイヤモンド」 2004年02月14日 (89ページ)掲載
経営よろず相談所
テーマ:不動産譲渡損の相殺?
回答者 元森俊雄 東京総研 代表(公認会計士・税理士)
不動産譲渡損の相殺?"

2004年02月14日号表紙

Q.  所得税改正で不動産の譲渡損の取り扱いが変わると聞きました。個人所有の事業用不動産が値下がりしているので、 損切りを考えていましたが、どうすればいいでしょうか?

A.  不動産の譲渡損は、給与や事業所得などほかの所得と相殺できました。しかし、昨年末に財務省が発表した 税制改正大綱で、「不動産の譲渡損は不動産の譲渡益としか相殺できない」との案が示されました(居住用は救済措置あり)。 本案は今年3月に国会で審議される予定です。

 本案については、
①3月の国会で決議の予定なのに、年初までさかのぼって適用するのは、「納税者不利となる改正は遡及しない」 という原則に反する。しかも、12月19日の突然の発表から13日後の1月1日からの適用開始では、周知期間がきわめて不十分。
②不動産貸付所得との相殺すら認めないのは、租税負担の公平性に反する。
③個人で不動産投資をする人が減り、不動産相場を押し下げる懸念がある。
以上のような問題点が指摘されています 。

 反対が多く、国会を通らない可能性もありますが、通った場合は含み益のある不動産を持っている人以外は、打つ手がありません。


 自分の関係する会社に時価の上限で譲渡し、損失を抑えるという奥の手はありますが、 譲渡価格の妥当性、登記費用、会社の財務なども含めた検討が必要です。