東京総研及び元森公認会計士・税理士事務所の掲載記事情報

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「週刊ダイヤモンド」 2004年02月28日 (109ページ)掲載
経営よろず相談所
テーマ:役員からの借入金の利息
回答者 元森俊雄 東京総研 代表(公認会計士・税理士)
役員からの借入金の利息"

2004年02月28日号表紙

Q.  役員を務める会社の資金繰りが苦しいため、私が会社におカネを貸しています。会社はこの借り入れに対する利息を 払う必要がありますか。私個人は受領した利息について申告したほうが良いですか?

A.  会社が役員から借り入れした場合、無利息でも原則として税務上は問題になりません。 役員が個人の利益を犠牲にして、会社を支援することを税法も想定しているからです。

 もし会社が利息を払った場合、役員は受取利息額を「雑所得」という区分で所得税の確定申告をする必要があります。 ほかの所得と合算して総合課税されますので、利息に対する税率は最高50%になります。銀行などの預金利息が20% の源泉税で完了し、申告が不要なのとは対照的です。

 一方、会社が赤字の場合、法人税はゼロですので、利息を払っても節税効果はありません(繰越欠損金が増えるので 将来の節税効果はあり)。総合的に考えると無利息としたほうが有利です。


 ただし、租税回避目的が明らかな場合や、社会通念上の好意的な援助の範囲を超える場合は、通常の利息相当額が 役員個人の雑所得と認定、課税されます。

 なお、本件とは逆に、会社が役員へおカネを貸して、利息が無償または低利の場合、適正な利息額との差は、 税務上は役員報酬と見なされ、役員個人の給与所得として認定、課税されます。