東京総研及び元森公認会計士・税理士事務所の掲載記事情報

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「週刊ダイヤモンド」 2004年02月28日号 (44ページ)掲載
特集 50歳からの起業 Part3 「実践マニュアル」
開業時の組織形態と公的融資・助成金活用
回答者 元森俊雄 東京総研 代表(公認会計士・税理士)
節税と脱税の大きな違い"

 独立する決心はついた。では、自分にはどういう組織形態が適しているのか。また、「カネ詰まり」に陥ったときには、 何を頼りにすればよいのか。使える「公的融資と助成金」を探した。


 いざ、起業する場合、個人事業主になるのか、それとも法人の形態を取るのか。それぞれ、メリット、ディメリットがあり、悩むところである。


 ベンチャー企業の立ち上げ支援している東京総研の元森俊雄社長は、「一人もしくは奥さんの協力で事業を始める場合は、 まず、個人事業主としてスタートすることをお勧めする」と言う。(左下へ続く)

 個人事業主なら、法人と違って、開業時も開業後も費用や手間がかからない。会社組織にすれば、赤字であっても、 毎期7万円ほどの法人住民税を払わなければならなくなる。
 だが、個人事業主にも、資本・人材の調達、信用力などの面で限界がある。ある程度の規模になれば、経営上、 税務上のメリットの多い法人が断然有利だ。


 その場合、「体裁を気にしなければ有限会社で十分である」(元森社長)。設立や存続のコストが株式会社に比べて 安いためだ。登録免許税だけで比較すると、有限会社は6万円以上、株式会社は15万円かかる。
 また、株式会社の場合は、2年ごとに役員変更の手続きが必要になる。それを忘れると1回5万円の罰金がかかり、 実際に元森氏もその手続きを忘れ、罰金を科せられたことがある。


 資本金1000万円以下の場合には、消費税などでの優遇措置もあり、面倒なことが嫌いな人には有限会社が適している。
 ただし、信用を重んじる業界、あるいは将来、株式公開を目指しているなどの場合は、信用力のより高い株式会社の方が得策だ。


 なお、最低資本金規制が昨年2月から緩和され、この特例措置を利用すれば、資本金1円で有限会社や株式会社を設立できるようになった。
 今のところ、設立から5年以内に最低資本金を用意すればよいことになっている(有限会社300万円以上、株式会社1000万円以上)。 設立後5年たっても最低資本金に満たない場合、会社を清算するか、組織変更するなどの対応が求められる。
 ただ、「今の商法改正案が通れば、株式会社の最低資本金は300万円に下がるので、今、資本金300万円の株式会社を作っておけば、 今後、増資をしなくてもそのまま存続できる可能性は高い」(元森社長)。