東京総研及び元森公認会計士・税理士事務所の掲載記事情報

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「週刊ダイヤモンド」 2004年03月13日 (165ページ)掲載
経営よろず相談所
テーマ:合併による繰越欠損の活用
回答者 元森俊雄 東京総研 代表(公認会計士・税理士)
合併による繰越欠損の活用"

2004年03月13日号表紙

Q.  私は一族と2つの会社の全株式を所有しています。A社の業績は順調なのですが、B社は大きな繰越欠損金を 抱えています。A社がB社を吸収合併すると、B社の繰越欠損金を活用、A社の利益と相殺できるのでしょうか?

A.  従来は、原則として被合併法人の繰越欠損金を引き継げませんでしたが、現在は所定の要件を満たす「適格合併」 の場合は、引き継ぐことができます。適格合併の要件の概略は次のとおりです。

①100%親子会社の関係(A社がB社株式の100%を保有)、または100%兄弟会社の関係(一族で両社株式を100%保有など)にあること。

②持ち株比率が50%超100%未満の親子会社・兄弟会社関係の場合には、これにA社がB社の主要事業を引き継ぐことが、 また持ち株比率が50%以下の場合には、両社の事業に関連性があり、共同で事業を営むことが要件となります。


 ご質問のケースは、①の兄弟会社に該当します。一族全員が法人税法上の同族関係者に該当するかをご確認ください。

 形式的には適格要件を満たしていても、単に節税を意図した合併だと税務署から認定されると、繰越欠損金の引き継ぎが否認されることもあります。

 適格要件の詳細は極めて複雑ですので専門家に相談することをお勧めします。